代表 後藤 直

私は25年以上、製造現場で使うシステムの開発と業務改善に携わってきました。
経験の浅いころ、私はお客様がまとめた仕様書のとおりにシステムを作りました。 書かれた要件は満たしていましたし、動作にも問題はありませんでした。 しかしそのシステムは、お客様が期待していたものには届かず、まもなく使われなくなりました。
そのとき気づいたのは、仕様書が悪かったわけではないということです。お客様はシステムのプロではありません。 業務については誰よりも詳しくても、それをシステムの言葉に翻訳しきるのは難しいことです。 だとすれば、完璧な仕様書が出てくるのを待つのではなく、 現場の状況と、まだ言葉になっていない要求を読み取る力を、私の側が持たなければならない。 そう考えるようになりました。
その後、海外の生産現場にも何度も行きました。 正直に言えば、20代のころは海外出張が苦手でした。 1週間か2週間で現地の事情や考え方を理解して、なおかつ自分の目的を果たさなければならない。 議論の進む速さにも要求の出方にも慣れず、ついていくのが精一杯で、 帰国後しばらく動けないこともありました。
それを100回以上繰り返して分かったのは、結局は同じだということです。 言葉や商習慣が違っても、相手の立場と現場で起きていることを私が理解できていれば、話は通る。 理解が足りないまま持ち込んだものは、国内でも海外でも使われない。 それだけのことでした。今この経験は、国内の中小企業の現場で活きています。
ですので私は、仕様書に書かれた内容だけを見てシステムを開発することはしません。 ひとつひとつの要望について、なぜその仕様が必要なのか、 どのような業務背景があるのかを、お打ち合わせの中で確認します。
そのうえで、お客様が本当に実現したいことや、大切にされている考え方をくみ取り、 仕様書には表れにくい課題や改善の余地まで整理するように心がけています。 言われたものをそのまま作るのではなく、お客様にとってより良い形を一緒に考え、 必要であればプラスアルファの提案を行う。それが、私が大切にしている開発の進め方です。
生成AIの登場で、できることは大きく広がりました。 ただ、AIを導入すること自体が目的になってはいけないと考えています。 「AIを活用したい」というご相談でも、実際にお話を伺うと、 先に整理すべきなのは毎日使っているExcelの管理や、確認手順の複雑さだった、ということがあります。 業務整理、自動化、AI、システム化のどれが有効かは、状況を見てからでなければ決められません。 だからこそ私は自社でも日々試し、効果と課題を確かめたうえで、 本当に役立つと判断したものだけをご提案しています。
もうひとつ大切にしているのは、私がいなくても困らない形にしておくことです。 設計や手順は文書に残し、特定の人しか分からない作り方はしません。 長く使っていただくものをお預かりする以上、それが責任だと考えています。
北九州は、私が生まれ育った町です。 人口減少や高齢化、人手不足など、地域の中小企業を取り巻く環境は決して楽ではありません。
しかし、地方だから仕方ない、で終わらせたくありません。 業務を整理し、使える技術を上手に組み合わせれば、 限られた人員や予算の中でも、まだできることはたくさんあります。
北九州の中小企業がこれからも力強く事業を続けていけるよう、 一社一社の課題に向き合っていきます。
作ることが目的ではありません。お渡ししたあとに使われ続けて、現場の仕事が少し軽くなる。
そこまで見届けるのが私の仕事だと考えています。
